口腔内細菌と体の病気

実践!口腔ケアマニュアル

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日本人の死因は、悪性新生物(がん)、脳血管疾患、心疾患が上位3つを占めます。しかし、要介護者の場合は違います。1位は肺炎で全体の33%、2位は感染症の19%、3位は心不全です。介護を必要とされている方は、特に細菌性の割合が大きいことに注目してください。

高齢者の肺炎は、口のなかの細菌が唾液等に混ざり、誤って肺に入り込み発症する「誤嚥性肺炎」の割合が高いとされています。なかでも気づかないうちに唾液や胃液等が肺に入る「不顕性誤嚥」によるものが多いようです。誤嚥性肺炎を起こした人の多くは、本人も気づかないまま、寝ている間に誤嚥を起こしているのです。

人の口のなかは、通常、37度前後に保たれており、唾液によって潤っていています。そこに食事のあとの食べかすがとどまっています。このように、温度、湿度、栄養の3条件が揃っている口のなかは、細菌が繁殖するには最適な環境と言えます。

成人の口のなかには300種類の細菌が生息していて、歯に付着した歯垢1mgに1億個以上の細菌がいると言われています。これらの細菌は、口腔内の清掃を怠ると爆発的に増殖し、さまざまな全身疾患を引き起こすことが明らかになっているのです。

最近では、口腔内細菌が血管を通って体全体を巡り、各臓器に侵入・繁殖し、さまざまな病気の原因になっていることがわかってきました。例えば、動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎等も口腔内の細菌と大きく関係しています。口のなかの清潔を保たなければ、全身的な健康を脅かすことになりかねません。

これらの予防に最も効果的なのが日頃からできる「口腔ケア」です。簡単に言えば、適切な歯磨きや口腔内の粘膜、舌等のブラッシングや清拭、洗口です。一口に歯磨きといっても、しっかりと磨けている人は実に少なく、多くの歯科医師や歯科衛生士が嘆いているほどです。ましてや、介護を要する方は自分で歯ブラシをしようとしても手や体の自由が利かないため、いつも同じところしか磨けず、奥の方の歯や入れ歯には歯垢がべったりと付いていることが実に多いのです。

口腔ケアの基本は、健康な方なら「歯磨き」からですが、介護者の方に限っては、まずは定期的な「口腔健診」が最優先だと考えてください。訪問診療を行う歯科医師なら、その方の身体状況に合わせた適切な口腔ケアの方法を指導してくれるからです。

「口腔内細菌と体の病気」のまとめ

ここがポイント
  • 要介護者の死因1位は肺炎
  • 口腔内の清掃を怠ると、口腔内細菌が体内を巡り、誤嚥性肺炎、動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病などの原因となる
  • 口腔ケアを行うことで、さまざまな危険を予防できる

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