お口の健康アンケート

実践!口腔ケアマニュアル

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要介護高齢者を対象とした調査で、「何らかの歯科治療・専門的な口腔ケアが必要と判断された者が89・4%であるのに対し、実際に歯科受診を行った者は26・9%」という研究報告書(2005年)があります。

要介護者の日常における関心事の第1位が「食事」であることは有名で、介護にかかわる人にとっては既に常識に等しいと言えるでしょう。しかし、摂食嚥下機能を維持していないばかりに適切な食事ができないという要介護高齢者が実に多くいらっしゃいます。

そして、咀嚼機能の低下は栄養不良へつながり、さらには全身のADLの低下へとつながっていきます。これを改善し予防するためには、在宅や入所施設で、摂食機能訓練や専門的な口腔ケア等を含めた歯科訪問診療が欠かせません。しかし多くの介護者は多忙で、歯科との連携は後回しになりがちです。さらに、歯科訪問診療の存在を知らなかったり、知っていても不明な点が多かったりすることも、歯科との連携が先送りされる原因になっているようです。

こうした方々が最初に直面する問題が、「どの歯科医院に依頼すればよいのかわからない」というものです。全国の歯科診療所において、歯科訪問診療を実施している施設は17・6%しかありません。つまり、歯科医院の5件に1件も訪問診療を行っていないのです。さらに、体制の整った在宅療養支援歯科診療所になると、全国で3996診療所(平成22年)、歯科医療機関6万8384のわずか5・8%です。

このように、非常に数が少ない在宅療養支援歯科診療所ですが、インターネットで地方厚生局のホームページ(http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/)から検索すれば、地域内の該当する歯科医院を簡単に見つけることができます。

次の疑問が、「歯科訪問診療ではどんなことが可能なのか」、「対象となる治療の範囲はどんなものか」というものです。簡潔に答えるなら、「歯科診療所で受けられる保険診療と同じ治療をカバーしている」となります。

ただし、患者さんが有病高齢者であることから、実際にできる治療の範囲はケースバイケースです。ちなみに、要介護状態になった直後から1年以内が最も発生数が多い主訴である義歯の不適、齲蝕、歯周疾患、口腔乾燥症等の治療は、ほぼ全て保険診療でまかなうことができます。

また、「どのような場合に歯科との連携を取ればよいのか」という不安も多いようです。これを解消するベストな方法は年1回の口腔健診ですが、実際には時間や手間がかかるなど、介護者の負担が増えます。

そこで3分でできる現実的な方法を提案しましょう。年に1回の「お口の健康アンケート」を実施する、というものです。簡単なチェックシートを使って不具合やリスクの高い人を見つけることができます。これで見つかった高リスクの人だけを、訪問診療を行う歯科医院に伝えて相談しましょう。このアンケート用紙をご希望の方は、日本訪問歯科協会の事務局にお問合せください。必要部数を無料でお送りしています 。

「お口の健康アンケート」のまとめ

ここがポイント
  • 施設が歯科との連携を取るのにベストな方法は、年1回の口腔健診の実施
  • 年に1回「お口の健康アンケート」を行えば、定期健診による施設側の負担を軽減できる

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