高齢者の口腔ケアに必要な安全な体位のとり方
【1】「自分で歯を磨くことができる」方
移動時の介護や物品による介助でケアを促すことができます。歩行可能な方には椅子を用意したり、立っている時に後ろから支えてあげるよう気を配りましょう。
また車椅子で行う時は足に力が入るよう足台を用意したり、車椅子用のテーブルに肘を乗せるようにします(図-1)。
さらにベッドで行う時は上体を起こし、膝の下にクッションなどを敷き膝を曲げるようにすると楽に姿勢を保つことができます。この時も車椅子と同様ににテーブルを使って肘を安定させると良いでしょう。テーブルを使用する場合は、テーブルの手前側が胸の直前に来るようにしましょう。
【2】「自分で磨くことができない」方
安定した体位を確保し介護者がケアを行います。椅子に座らせケアを行う時は介護者が後方に立ち、介護者の胸で頭を支えるようにします。
また、ベッド上のケアでは、掛けふとんを背もたれになるよう置き、ベッドの脇にお年寄りを座らせケアを行います。この時ベッドの枠を持つように促し、床に足がつく状態にしておくのもポイントです(図-2)
【3】「自分で磨けず、体位もとれない」方
寝床の中でケアを行います。その際、誤嚥しないようベッド上で体全体を横に向けたり(図-3)、舌が床と平行になるくらいの角度まで上体を起こした姿勢でケアをするようにしましょう。しかし、実際は寝たきりの生活者を急に起こすことは難しいため、徐々に10度から15度くらい起こすことから始めていくのが望ましいでしょう。