居宅療養管理指導と公費負担時の請求

介護保険の居宅療養管理指導費を請求する際に、患者が公費対象者である場合、公費負担者番号と公費受給者番号を介護給付費明細書に転記する必要があります。

ここでは、公費について整理します。

1.公費の対象

居宅療養管理指導の一部負担金が公費により減免されるのは、次の5種類です。

  • 法別番号12 生活保護
  • 法別番号19 原子爆弾被爆者援護法
  • 法別番号54 難病法
  • 法別番号51 特定疾患
  • 法別番号25 中国残留邦人等

2.公費負担者番号、公費受給者番号の確認方法

公費対象者の公費負担者番号・公費受給者番号は、下記の書類等から確認します。

  • 法別番号12生活保護や法別番号25の中国残留邦人等の場合は、「介護券」
  • 法別番号19の原爆に該当する場合は、「被爆者健康手帳」
  • 法別番号54の難病法に該当する場合は、「特定医療費(指定難病)受給者証」
  • 法別番号51の特定疾患に該当する場合は、「特定疾患医療受給者証」

新規で訪問診療の依頼を受ける際には、患者やご家族の方にこれらの受給者証等をお持ちかどうか確認するようにします。介護券のみ、福祉事務所等から交付されます。

3.生活保護

生活保護の方は、「生保併用」と「生保単独」の2つに分けられます。

生保併用となるのは、65歳以上の方もしくは40歳以上65歳未満で医療保険に加入している方です。生保併用の場合は、介護保険の給付9割、公費の介護扶助1割で請求します。患者の負担はありません。

生保単独となるのは、40歳以上65歳未満で医療保険に加入していない方です。生保単独の場合は、公費の介護扶助10割で請求します。患者の負担はありません。

どちらも福祉事務所等から介護券の交付を受けた後、国保の介護保険課へ請求します。

生保併用と生保単独

4.被爆者援護法

被爆者援護法は、原子爆弾の被爆者に対する保障などを定めた法律です。患者の負担はありません。指定医療機関のみ公費での請求が可能です。

5.難病法

「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)に基づいて指定される指定難病について、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援する制度です。

指定難病の患者は、医療費助成の対象となり自己負担が軽減されます。現在では、医療費助成の対象となる「指定難病」が341疾病まで拡大されています。

なお、医療費助成の対象となるのは、病名に起因した症状の治療に対してのみです。病名に起因した症状ではない治療の場合には医療費助成の対象とはなりません。

難病の患者は、受診した医療機関の自己負担を合算し、自己負担限度額を超えた部分について助成が適用されます。そのため、まずは患者がお持ちの自己負担上限額管理票で、自己負担上限額に達したかどうか確認します。

自己負担上限額に達するまでは、患者から徴収します。自己負担上限額に達してからは、公費での請求となります。指定医療機関のみ公費での請求が可能です。

6.特定疾患

スモン、劇症肝炎、重症急性膵炎、プリオン病の方への助成制度です。対象になるのは、特定疾患およびそれに付随して発生する傷病に関する医療のため、歯科はほぼ対象外と考えられています。患者の負担はありません。

7.中国残留邦人等

中国残留邦人等支援法に基づいた、中国残留邦人等の方々への支援制度です。患者の負担はありません。福祉事務所等から介護券の交付を受けた後、国保の介護保険課へ請求します。

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