訪問診療は外来と比べることでその特徴を把握しやすくなります。また、訪問診療と同じように思われがちな「往診」との違いを知っておくことが必要です。
ここでは、訪問診療と外来診療との違い、往診との違いを確認し、さらに訪問診療の対象となる患者の条件と訪問診療を行える場所について整理しておきましょう。
目次
1. 訪問診療の対象者
保険診療である訪問診療は、対象者は疾病や傷病による通院困難な患者さんと定められています。通院が容易な方は対象となりません。
ただし、要介護状態区分のみに基づくなど形式的に決められるものではなく、歯科医師が個々の症例ごとに適正に判断することになっています。
2. 外来と訪問診療の違い
外来と訪問の違いは、診療環境、患者さんの年齢層、患者さんの健康状態、意思疎通の困難さ、必要とされるコミュニケーションの形態にあります。
外来に来られる高齢者の患者さんより比較的リスクが高いため、慎重な対応が求められます。
3. 往診と訪問診療の違い
訪問診療と往診を同じものと思われている方がいます。
いずれも患者の求めにより始まるものですが、往診は突発的なものの対応、訪問診療は計画的かつ継続的なものです。
医科の点数表には往診と訪問診療は別の点数としてありますが、歯科の点数表には訪問診療にまとめられています。
4. 保険で訪問診療を行えるエリア
保険で訪問診療を行えるエリアは、訪問診療を行う保険医療機関から半径16km以内と決められています。
患者さんの要望で16kmを超えた場合には、保険診療とはならず、自費治療となります。
なお、保険医療機関と訪問先が16kmを超えた場合または海路で訪問診療を行った場合で特殊の事情があったときは、厚生労働大臣が定めるところによって保険診療になることもあります。
5. 訪問診療を行う在宅等とは
訪問先は、施設や居宅など患者さんが療養している生活の場です。簡単に言えば「患者さんが寝泊りしている場」です。
通所施設は寝泊りする場所ではないので、訪問診療はできません。
6. 訪問診療にかかる交通費
訪問診療にかかった交通費は、実費を患者さんへ請求できます。交通費には、ガソリン代も含まれます。
自転車、スクーター等の費用は交通費には該当しません。