患者の基礎疾患と算定できる報酬

訪問診療の中には、患者の基礎疾患から算定が考えられる項目がいくつかあります。

レセプト摘要欄に記載する診療時の患者の状態等(通院困難理由)の病名・状態と深く関わりがあります。

ここでは、患者の基礎疾患と訪問診療に関連する報酬について整理します。

1.歯科訪問診療料の歯科診療特別対応加算、初診時歯科診療導入加算

歯科診療特別対応加算、初診時歯科診療導入加算は、どちらも歯科訪問診療料に係る加算です。

著しく歯科診療が困難な者に対して歯科訪問診療を行った場合は、歯科診療特別対応加算として、175点を算定します。1回目の歯科訪問診療を行った場合であって、当該患者が歯科治療環境に円滑に適応できるような技法を用いた場合は、初診時歯科診療導入加算として、250点を算定します。

著しく歯科診療が困難な者とは、次に掲げる状態またはこれらに準ずる状態をいいます。

  • 脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態
  • 知的発達障害等により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態
  • 重症の喘息患者等で頻繁に治療の中断が必要な状態
  • 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ歯科診療に際して家族等の援助を必要とする状態

2.歯科疾患在宅療養管理料の在宅総合医療管理加算

在宅総合医療管理加算は、歯科疾患在宅療養管理料の加算です。

別の保険医療機関(歯科診療を行うものを除く。)から歯科治療における総合的医療管理が必要な患者であるとして文書による診療情報の提供を受けたものに対し、必要な管理及び療養上の指導等を行った場合に、50点を加算します。

対象となるのは、次の患者です。

  • 糖尿病の患者
  • 骨吸収抑制薬投与中の患者
  • 感染性心内膜炎のハイリスク患者
  • 関節リウマチの患者
  • 血液凝固阻止剤投与中の患者
  • HIV感染症の患者

3.在宅患者歯科治療時医療管理料

在宅患者歯科治療時医療管理料は、歯科訪問診療料を算定した日において、歯科治療時における患者の全身状態の変化等を把握するため、患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度を経時的に監視し、必要な医療管理を行った場合に45点を算定します。

対象となるのは、次の疾患のある患者です。

  • 高血圧性疾患
  • 虚血性心疾患
  • 不整脈
  • 心不全
  • 脳血管障害
  • 喘息
  • 慢性気管支炎
  • 糖尿病
  • 甲状腺機能低下症
  • 甲状腺機能亢進症
  • 副腎皮質機能不全
  • てんかん
  • 慢性腎臓病(腎代替療法を行う患者に限る。)
  • 人工呼吸器を装着している患者
  • 在宅酸素療法を行っている患者

4.診療情報連携共有料

歯科診療を行うに当たり全身的な管理が必要な患者に対し、当該患者の同意を得て、別の保険医療機関(歯科診療を行うものを除く。)で行った検査の結果、投薬内容等の診療情報について、当該別の保険医療機関に文書により提供を求めた場合に保険医療機関ごとに患者1人につき、診療情報の提供を求めた日の属する月から起算して3月に1回に限り120点を算定します。

5.摂食機能障害を有する患者

摂食機能障害とは、次のいずれかに該当する患者です。

  • 発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳卒中等による後遺症により摂食機能に障害があるもの
  • 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって他覚的に嚥下機能の低下が確認できるものであって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できるもの

摂食機能障害を患者が有する場合、次の3つのうちいずれかの算定が考えられます。これらは併算定不可です。

  • 摂食機能療法
  • 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料
  • 小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料
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