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- 2024.06
特別養護老人ホームすかいの郷（栃木県）では、『お口の健康相談会』を実施しました。その後、訪問歯科診療を導入して、入居者様のお口の健康状態の改善につながったことはもちろん、ケアを行う職員にとっても大きなメリットがあったことを実感しています。
『お口の健康相談会』は職員にとっても大きなメリットが
特別養護老人ホームすかいの郷（看護師 角田 将之さん、看護師 岩崎 麻里さん、看護師 野口 美奈さん）
日光市にある当施設は木造平屋建てで、入居者様がおだやかに過ごすことができる施設です。毎日の生活の中に機能訓練を取り入れ、少しでも介護度を下げていくことを目指しています。そんな中、２０２３年11月に、柴田歯科クリニックの協力のもと、『お口の健康相談会』を実施しました。
『相談会』には約50名の方が参加されました。 個別対応のケア方法をアドバイス
『お口の健康相談会』を実施して良かったのは、入居者様の状態に合わせて個別のアドバイスをいただけた点です。これまで口腔ケアは介護職員がやってはいましたが、専門知識があるわけではないので、お一人お一人に合わせたケアはできていませんでした。
『相談会』では、「この方は上の歯に汚れがつきやすいのでそこを重点的に」「こちらの方にはこういう歯ブラシを使うといいですよ」「パタカラ体操がうまくできない方には吹き戻し笛を試してみて」など、個別のケアの方法や道具、口腔リハビリなどについて細かく教えていただきました。
『相談会』は入居者様のお口の健康状態の改善につながったうえに、ケアを実践する職員が直接アドバイスを受けられたこともとても有意義でした。 訪問歯科診療はすぐに先生が来てくれて心強い
『お口の健康相談会』の結果から、訪問歯科診療へとつながった方も多数いらっしゃいます。
ある方は歯の調子が悪かったことを職員になかなか言い出せずにいたようです。『相談会』で先生にみていただくと、昔に治療したブリッジが劣化して噛み合わせが悪くなっていることがわかり、現在、新しい義歯を作成中です。食べたかったものをずっと我慢していたそうで、「これで好きなものが食べられる」と義歯の完成を楽しみにしていらっしゃいます。
また、先日は差し歯が取れて不穏になってしまった方がいましたが、先生がすぐに駆けつけて治療してくださいました。まるで施設内に専属の歯医者さんがいるようでとても心強いです。
歯科医院との協力体制が整い、歯科医師に何でも質問しやすくなったことが、実は『お口の健康相談会』の一番のメリットだったのではないかと感じています。
「吹き戻し」で口腔リハビリ「吹き戻し」は口にくわえて勢いよく息を吹き込むとピーッと音が鳴り、吹くのをやめるとクルクルと戻ってくる笛のおもちゃです。「巻き笛」「ピロピロ笛」などとも呼ばれ、お祭りや縁日などでも見かけるなじみのあるおもちゃですが、これを口腔機能訓練にも活用することができます。
「吹き戻し」を吹くことで、しっかりとした腹式呼吸ができるようになり、唇や口の周りの筋肉も鍛えられます。呼吸が安定して唇の機能が向上すれば、嚥下もスムーズになり、誤嚥予防につながります。
一気に息を吹き込んで伸ばしたら、その状態を５〜10秒キープすることを意識します。これを１回として、１セット10〜30回を目安にし、１日に３セット行うのが理想的です。
この訓練は広島県のモデル事業として複数の病院や施設で実施され、呼吸機能に大きな改善効果が見られたと報告されています。
この方法で呼吸機能が改善されると安全に嚥下できるだけでなく、会話を楽しみながらの食事もスムーズにできるようになると期待されています。
なつかしいおもちゃを使うので、高齢者も楽しくトレーニングができます。「吹き戻し」を口腔リハビリに取り入れてみてはいかがでしょうか。
発行／SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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