訪問歯科の現状

歯科治療を要する高齢者の急増

平成21年4月の段階で、日本の要介護認定を受けている人口は469万人。介護保険制度が始まった平成12年4月時点では218万人なので、わずか10年で2倍以上になっています。

要介護度別認定者数の推移

これら要介護高齢者の多くは、口腔内に問題を抱えているにも関わらず、適切な歯科治療を受けることができなくなっていました。

厚生労働省が2005年に調査した「年齢階級別歯科推計患者様数及び受診率」によると高齢者の歯科医療は外来を中心に行われ歯科受診は70〜74歳をピークに、その後急速に減少している実態があります。

年齢階級別歯科推計患者様数及び受療率

高齢者はむし歯の発生リスクが高く、この歯科疾患が放置されると歯の喪失を引き起こし、咀嚼機能をはじめとする口腔機能の低下を招き、食べるという楽しみばかりではなく、生活の質の低下や生きるため意欲に悪い影響を与えます。また、多くの高齢者は義歯の修理や新製、咀嚼機能のリハビリ、口腔ケアなどを必要としています。

厚生労働省の調査によると、要介護者の74.2%は何らかの歯科治療が必要であるのに対し、実際に治療を受けたのはわずか26.9%というのが実情です。単純に計算すると469万人×74.2%×(100%—26.9%)=254.7万人。実に254.7万人が歯科治療を必要としているにも関わらず受けていないことになります。

絶対的に不足している訪問歯科

一方で、訪問歯科診療の実施率をみると1ヶ月間の在宅医療実施歯科診療所は全体の18.6%。1診療所あたりの平均訪問診療回数は12.6回です。この実施件数はすべての要介護高齢者を対象とした月1回の定期的管理を中心とした在宅歯科医療サービスを想定した場合、わずか3.6%の充足率に過ぎません。介護保険における居宅療養管理指導では、歯科医師による実施は4.0%、歯科衛生士による実施は2.7%しかないのです。

また、施設において訪問歯科診療を実施している歯科診療所は増加傾向ですが、居宅への実施をしている歯科診療所は減少傾向が続いていました。

さらに、平成20年度に在宅又は社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援する目的で創設された在宅療養支援歯科診療所の数は平成23年2月の段階でわずか4,028診療所なのです。

診療報酬改定による追い風

平成24年の診療報酬改定では、これらのことを踏まえ「在宅歯科医療の推進」が大きな柱として取り組まれました。

歯科訪問診療料の対象者や歯科訪問診療料の増点、歯科訪問診療補助加算の新設、在宅患者様等急性歯科疾患対応加算の見直しにより、今まで以上に評価されることになりました。

これを機会に多くの歯科医院が訪問歯科に取り組むことが望まれています。

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