訪問歯科診療ニュース カムカム通信 歯から元気!「カムカム通信」は、訪問歯科診療の普及のために当協会が発行しているレポートです。介護事業所での口腔ケアへの取り組み事例をご紹介しています。

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  • 2009.03

COMECOME倶楽部

練馬高松園(東京都)では、『お口の健康相談』をきっかけに、施設内 での口腔ケアに取り組み始めました。さらに、重要性をしっかり理解 するために、職員の意識づけも徹底していきたいと考えています。

看護職も介護職も一丸となって口腔ケアの取り組みを

看護職も介護職も一丸となって口腔ケアの取り組みを

私たち練馬高松園と日本訪問歯科協会の出会いは、ちょうど介護保険の改正による口腔機能向上加算が始まる頃でした。
それまで、当施設では食後のうがいは行っていましたが、歯みがきなどの口腔ケアにはまだ取り組んでいませんでした。
私は以前、病院に勤務しており、口腔ケアの重要性については十分理解していました。しかし、施設での看護師の役割や病院とは違う雰囲気に戸惑いを覚えていた時期でもあり、ブラッシングの必要性はわかっていても、自分から率先して口腔ケアを提案することがなかなかできずにいました。
そんなときに、口腔機能向上加算が始まることになったのは、口腔ケアを提案するにちょうどよいタイミングでした。同僚の看護師となにができるかと相談していたときに、日本訪問歯科協会の資料を見つけ、無料で利用者様の『お口の健康相談』をしてくれるというので、お願いしました。以後、年に1回、『お口の健康相談』を実施しています。

家ではあまりやらない人も デイサービスではしっかり歯みがき 『お口の健康相談』を実施するまでは、利用者様のお口の中の状態をしっかりと見る機会はなかなかありませんでした。けれども、『お口の健康相談』を行ったことによって、全員とまではいかないまでも、「この人はここが悪いのでこういうケアが必要」とか「汚れているのでブラッシングを誘導しなくちゃ」など、利用者様の個々のお口の状況をだいぶ把握できるようになりました。
今では、デイサービスでは食後の歯みがきがすっかり習慣になっています。最初はいやいやだった方も、食後は自分から洗面所に行ってブラッシングするようになりました。家ではあまりやらないけれど、ここでは職員がしつこく「ブラッシング!」と言うので、ここに来たときだけはしっかりとケアをするという方もいるようです。利用者様から「さっぱりして気持ちがいい」という言葉も多く聞かれるようになりました。 口腔ケアに取り組もうという職員の意識も大切 口腔ケアに取り組むようになってから、お口の衛生面はだいぶよくなったと思いますが、嚥下状態の改善など大きな変化には残念ながらまだ結びついていません。
以前は普通に食べられていたのにむせるようになった、飲み込みが悪くなったなど、年齢を重ねるたびに嚥下の機能が少しずつ低下してきた利用者様もいらっしゃるので、そういう方にどのようにアプローチしていくかが今後の課題です。
それには、口腔ケアにきちんと取り組もうという意識を職員がもつことが大切です。看護職も介護職も共通の理解と認識のうえで、口腔ケアに取り組む必要があると思うのです。そのためにも、職員向けの勉強会もぜひ行っていきたいと考えています。 入れ歯の調整 入れ歯を新しく作ったとき、違和感や痛みなどの不具合を感じることは少なくありません。
じつは、入れ歯はどんなにていねいに作ったとしても、初めからしっくりなじむほうがまれなこと。でき上がった入れ歯は、使いながら少しずつ何度も調整することで、自分になじんだものになっていくのです。
入れ歯を作りっぱなしにして、「今は痛いけれど、そのうち合ってくるだろう」とひたすらがまんしたり、「痛いからしないほうがまし」とあきらめてはずしてしまう人も多いようですが、歯科医師と相談しながら、快適な入れ歯になるように何度も調整してもらいましょう。
また、入れ歯は一度作ったら「一生モノ」というわけではありません。ぴったりと合っていた入れ歯も、使っていくうちにお口の状態が変わったり、入れ歯自体が変形したりして、だんだん合わなくなってきます。そんなときも少し調整することでトラブルが解消されることもあります。
不具合がなくても、半年?1年に一度は入れ歯の定期検診を受けるとよいでしょう。

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