訪問歯科診療ニュース カムカム通信 歯から元気!「カムカム通信」は、訪問歯科診療の普及のために当協会が発行しているレポートです。介護事業所での口腔ケアへの取り組み事例をご紹介しています。

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  • 2008.11

COMECOME倶楽部

定期的に利用者様のお口の健康相談などを実施している、ニチイケアセンター御領(大阪府)では、歯科だけでなく、耳鼻科や内科などとも連携した、チーム医療としての口腔ケアの必要性を感じています。

今後は歯科だけでなくチーム医療としての口腔ケアの体制づくりを

今後は歯科だけでなくチーム医療としての口腔ケアの体制づくりを

私たち「ニチイケアセンター御領」では、介護保険の予防メニューに口腔機能の向上が取り入れられた平成18年頃から、日本訪問歯科協会の協力を得て、スタッフ向けの口腔ケアの勉強会や、利用者様のお口の健康相談を定期的に行っています。
初めての勉強会のとき、お口の中にいかにバイ菌がたくさんいるかというお話を聞きました。赤ちゃんにチューをすることでバイ菌を移してしまうというお話は、とても衝撃的で印象に残っています。
お口の中がきれいじゃないと、誤嚥をしたときにバイ菌が気管に入って危険なこと、寝ているときも知らない間に少しずつ唾液を誤嚥していて、それが肺炎の原因になることなどを改めて知り、口腔ケアの大切さを再認識するきっかけになりました。
その後も、支店のケアマネージャーを集めての研修会や、他施設での勉強会などにも参加して、口腔ケアについていろいろと勉強しています。

時間をかけて少しずつ利用者様にも浸透 定期的にお口の健康相談を行ってきたことで、利用者様にも口腔ケアの重要性が、時間をかけて少しずつ浸透していったと思います。
日本訪問歯科協会の担当者の方が、毎月センターに顔を出してくださるのですが、そのときに利用者様がお口のことをなんとなく相談したり、「舌ブラシがほしいからどこかで探してきてくれませんか」などお願いしたりすることもあるようで、自発的に口腔ケアに取り組もうという姿勢も見えてきました。
お口の健康相談から、訪問歯科診療を希望された利用者様も何名かいらっしゃいます。食事があまり食べられないと相談されたある利用者様は、入れ歯を作り直したことで、今ではゆっくりだけど自分のお口で普通食を食べられるようになり、ご本人もご家族も喜んでいらっしゃいます。
また、お口の健康相談の結果は、うちのスタッフナースがすべて、しっかりとチェックしています。当施設独自のお口のアセスメントシートもあるのですが、「初回はきちんと細かく聞いてきてください」と言われることもあり、ナース達も口腔ケアをかなり重要視しています。 上手にごっくんしていただくために 私たちがお口の健康状態で今、特に気をつけているのは「嚥下」についてです。総入れ歯で「入れ歯を入れたくない」という方にも、「上だけでも入れてきてください」とお話しします。上だけでも入っていれば咽頭圧が上がって上手にごっくんできるようになるからです。
上手にごっくんする、嚥下はとても大切なことだと思うのですが、あまり正しく評価されていないように思うのです。嚥下に関してはST(言語聴覚士)の方も診てくださいますが、歯科にも大いに関わりますし、嚥下が不十分だと内科にも影響を与えます。
嚥下に限らず口腔ケア全般についていえることですが、歯科、耳鼻科、内科などがうまく連携して、チーム医療として取り組んでいけるような体制ができると、なおよいのではないかと思っています。

ワンポイントアドバイス 今日から始める。簡単お口のケア!

高齢者の多い「誤嚥性肺炎」日本人に多い死因として、がん、心筋梗塞(虚血性心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)に次いで、肺炎・気管支炎が挙げられます。とくに、肺炎と気管支炎による死亡の9割は65歳以上の高齢者であるため、肺炎は高齢者の健康管理にとって最も重要な課題です。
高齢者の肺炎は、口の中の細菌などが誤って肺に入って発症する「誤嚥性肺炎」の割合が高いと言われ、脳血管障害が多いこととも大いに関連しています。大脳の基底核は,生命活動に重要な誤嚥反射や咳反射などを司っているので、ここに病変や障害があると誤嚥反射や咳反射などが阻害され、気道に異物が入るのを排除できずに誤嚥を起こしてしまうのです。
また、高齢者の肺炎の原因は、気づかないうちに唾液や胃液などが肺に入る、「不顕性誤嚥」が多いと言われます。 痴呆症、神経病、高齢化が進むと、誤嚥は起こりやすくなるのに咳反射は弱くなり、誤嚥した物を吐き出すことができなります。誤嚥性肺炎を起こした人の多くは、本人も気づかない、寝ている間に誤嚥を起こしています。

発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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