一般目標:在宅歯科医療の実践ができるようになるために、居宅および施設における患者の特徴を知り、ニーズとしての「診療」「ケア」「リハビリテーション」を理解し、診療方針の立案のためのシステムを理解する。

1.短期目標

大項目

中項目

小項目

学習目標

1. 短期目標

①診療

a. 急性症状の緩和

1) 全身的な状況を把握する(想起)
2) 症状の程度・種類を判断する(想起)
3) 痛みの程度を測定する(技能)
4) 痛みの原因を同定する(解釈)
5) 必要な器材を列挙する(想起)
6) 安全な診療環境を構築する(技能)
7) 症状の軽減を図る(技能)

b. 歯周初期治療

1) 高齢者の歯周組織の特徴を列挙する(想起)
2) 歯周疾患の重症度を測定する(技能)
3) 必要な器材を列挙する(想起)
4) 診療環境を構築する(技能)

c. 義歯修理・調整

1) 装具としての義歯の役割を説明する(想起)
2) 修理・不適合等の問題点を評価する(解釈)
3) 必要な器材を列挙する(想起)
4) 試験食品を選定し、機能評価する(技能)

②ケア

a. 口腔衛生の確保

1) ケアの3要素を列挙する(想起)
2) ケアアセスメントを実施する(技能)
3) プラークコントロールを円滑にする口腔環境を構築する(技能)
4) 多職種との連携を図る(態度)
5) ディスポーザブルブラシの導入を示す(態度)

b. 口腔環境の評価

1) ケアの3要素における口腔環境を説明する(想起)
2) 口腔環境の評価項目を列挙する(想起)
3) 口腔環境を悪化させている原因を分類する(想起)

c. セルフケアの確立

1) ケアの自立度を評価する(解釈)
2) 必要なケア用品を準備する(技能)
3) 本人に対するケア指導を実施する(技能)
4) ケア用品の管理を確立する(技能)

③リハビリテーション

a. 機能評価

1) 摂食機能、発語機能に関連する組織器官を列挙する(想起)
2) 嚥下機能のスクリーニング検査を説明する(想起)
3) 日常の食事風景から機能を推定する(想起)
4) 必要に応じて精密検査を実施・依頼する(問題解決)
5) リハビリテーション中止基準を説明する(想起)

b. 代償的介入法

1) 摂食・嚥下リハにおける代償的介入方法を説明する(想起)
2) 食事姿勢の影響を説明する(想起)
3) 食事形態の影響を説明する(想起)
4) 適切な水分の増粘方法を導入する(技能)
5) 適切な食事形態を選定する(技能)

2.中期目標

大項目

中項目

小項目

学習目標

2.中期目標

①診療

a. う蝕治療・形態回復

1) 高齢者のう蝕の特徴を説明する(想起)
2) 形態が口腔衛生・口腔環境に与える影響を説明する(想起)
3) 適切な歯の形態を回復する(技能)

b. 咬合・咀嚼機能

1) 咬合力、咀嚼能力を判断する(想起)
2) 準備期・口腔期の機能評価を実施する(技能)

c. 義歯製作・管理

1) 訪問による義歯製作の問題点を列挙する(想起)
2) 安全な診療方法を具体的に述べる(想起)
3) 義歯新製の目的を説明する(想起)

②ケア

a. 口腔環境の改善

1) 口腔湿潤剤の役割を説明する(想起)
2) 口腔湿潤剤の使用方法を説明する(想起)

b. ケア用品・方法

1) 必要なケア用品を選択する(想起)
2) スポンジブラシの選択方法を説明する(想起)
3) スポンジブラシの使用方法を説明する(想起)

c. ケア介入レベル

1) ケアの自立度を評価する(想起)
2) 自立度に合わせた介入プランを立案する(技能)
3) ケアの維持状態をモニタリングする(技能)

③リハビリテーション

a. 訓練

1) リハビリテーションにおける訓練の位置づけを説明する(想起)
2) 間接訓練方法を列挙する(想起)
3) 直接訓練方法を列挙する(想起)
4) 病態に合致した訓練方法を選択する(問題解決)
5) 看護師、歯科衛生士、リハ療法士に指示を出す(技能)

b. 栄養改善・維持

1) 生命維持のための栄養摂取を説明する(想起)
2) 栄養方法を列挙する(想起)
3) 栄養状態をアセスメントする(技能)
4) 栄養改善方法を立案する(態度)

3.長期目標

大項目

中項目

小項目

学習目標

3. 長期目標

①診療

a. 咬合の維持管理

1) 咬合状態を評価する(解釈)
2) 義歯の必要性を評価する(解釈)

b. 咀嚼機能維持管理

1) 残存歯の機能評価を実施する(技能)

c. 咬傷の予防・対応

1) 咬傷の成因を列挙する(想起)
2) 咬傷の原因を予測する(想起)
3) 必要な侵襲・介入を説明する(想起)
4) 咬傷の発生を予測する(想起)
5) 咬傷の進行を予測する(想起)
6) 咬傷の進行を抑制する(技能)

②ケア

a. 口腔衛生の維持

1) 口腔衛生状態のアセスメントを実施する(技能)
2) ケア連携の維持を実施する(技能)

b. 口腔環境の維持

1) 口腔環境を悪化させる要因を列挙する(想起)
2) 口腔環境のアセスメントを実施する(技能)
3) 口腔湿潤剤の使用方法を評価する(態度)

c. 「看取り」のケア

1) 看取りについて説明する(想起)
2) ターミナル期のニーズを説明する(想起)
3) 医科主治医・看護師と協調する(態度)

③リハビリテーション

a. 経口摂取維持

1) AHNを説明する(想起)
2) AHN導入のガイドラインを説明する(想起)
3) 嚥下機能のスクリーニングを実施する(技能)
4) 嚥下機能精密検査方法を列挙する(想起)
5) 嚥下内視鏡検査を実施する(技能)

b. 口腔機能維持管理

1) 口腔機能のアセスメントを実施する(技能)
2) 関連筋のMMTを実施する(技能)
3) 関連筋群に適したストレッチ、マッサージ方法を列挙する(想起)

c. 窒息予防

1) 食物による窒息事故の原因を列挙する(想起)
2) 具体的な窒息予防方法を立案する(態度)
3) 事故発生時の緊急対応を説明する(想起)

d. 誤嚥性肺炎予防

1) 誤嚥性肺炎を説明する(想起)
2) 誤嚥性肺炎の低減方法を説明する(想起)
3) 誤嚥性肺炎予防のプランを立案する(態度)
4) 多職種にケア方法を示す(態度)

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