人員の確保
(勤務医、歯科衛生士等)

訪問診療のための人員の確保はどうすればよいのでしょうか。

ここでは、訪問診療の未経験者、初心者を対象としたアドバイスをお伝えします。

まずは院長先生が出る

求人サイトや人材紹介で訪問診療のための勤務医を採用するのは、一般的な勤務医を採用するより、さらにハードルが高くなります。

特別なコネクションでもない限り勤務医の採用は難しくなっているのが実情です。幸いにして訪問診療に出てくれる勤務医が見つかった場合でも、手厚い待遇がないとわずか数ヶ月で退職されるケースもあるようです。

これから訪問診療を始めようとする場合、まずは院長先生ご自身が訪問診療に出てみることをお勧めします。

実際の現場はどのようなものかを把握されたうえで、待遇などの制度設計をすることをお勧めします。

訪問診療の歩合制は慎重に

訪問診療は 高点数になるため個別指導の対象になりやすい部分です。

訪問診療で算定する項目には、時間や患者数によって報酬が大きく違ってくるものがあります。

そのため診療報酬ベースの歩合制をとると、カン違いから間違った算定を続けていたり、意図的に増点を目的とした算定をしてしまうリスクがあります。

このような理由から、訪問診療での歩合制を導入する際には、院長先生ご自身が先に訪問診療を経験されることをお勧めします。そうすることで、実際の訪問診療では、どんなことが大変なのか、ストレスを感じることは何か、どんなことで不正を犯しやすいか等に気付くことができるからです。

歯科衛生士の手配

訪問診療を始めようとしても、外来で対応している歯科衛生士が訪問診療に出られない場合があります。外来の対応だけで歯科衛生士の勤務時間がいっぱいになっているケースや歯科衛生士が訪問診療を嫌がる場合です。

外来だけで余裕がないケースでは、新たに採用を行わない限り、歯科衛生士を訪問診療へ出すことは困難です。

また、歯科衛生士が訪問診療を嫌がる場合には、諸条件面での折り合いがつかない限り無理でしょう。

ちなみに、歯科衛生士が訪問診療を嫌がる理由は主に次の様なことです。

  • 昼休み時間が短くなる
  • 報酬が変わらないのに負担ばかり増える
  • 暑い(寒い)ので、医院の外で働きたくない
  • 車の運転が苦手、怖い
  • 経験がないので不安
  • 訪問診療に興味がない

などなど

そこで、新に歯科衛生士を採用する場合には、訪問だけを行うのか、外来と訪問の両方を行うのか、予め決めておく必要があります。

復職希望の歯科衛生士の採用を検討

訪問診療に出る歯科衛生士は、若い20代の方より、一度家庭に入られ、子育ての一番忙しい時期が終わったくらいの方が向いていることが多いです。

実は、この復職される歯科衛生士さんにとっても、外来で若い歯科衛生士さんたちと一緒に働くより、訪問を希望されることが多いのです。

自分が働いていたころに比べ歯科医院の環境の変化は思いのほか大きく、機材や材料だけでなくやり方まで違っているので不安を感じていることが多く、若いスタッフと一緒に働くことに不安を抱いている方は少なくありません。

特に訪問診療に向いているのは、話好きの方や家族に高齢の方がいる人です。

訪問診療のための歯科衛生士を採用する際のポイント

訪問診療だけを行う歯科衛生士を採用する場合、必ず取り決めを行っておくべき2つのことがあります。

1.道具の準備・後片付け(滅菌・消毒・洗浄)の担当

訪問診療担当の歯科衛生士は、外来の時間帯と異なる時間帯に稼働することが多くなります。そのため、訪問診療に使う道具の準備・後片付け(滅菌・消毒・洗浄)はだれが行うのか、はっきりと決めておかなければ医院内スタッフとの揉め事の発端になりやすいので注意が必要です。

2.歯科衛生士が訪問に使う自動車

歯科衛生士が訪問に使う車両は、医院が用意するのがベストです。
しかし、やむなく歯科衛生士が通勤に使っている車両を使ってもらうこともあり得ます。
その際は、借り上げ車両の規定を定め、借り上げ料だけでなく、車の保険料やガソリン代、洗車・清掃費用等についても誰の負担にするか取り決めをしておくことが重要です。



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